カーディガンズ、12年ぶりの来日公演ライヴ・レポートが公開。セットリストがプレイリストに

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カーディガンズ、12年ぶりの来日公演ライヴ・レポートが公開。セットリストがプレイリストに
Photo Credit Masanori Naruse

2025年10月13日に東京、10月14日に大阪で開催されたライヴ・イベント「SWEDISH POP CARNIVAL」にヘッドライナーとして出演したスウェーデンのバンド、The Cardigans(カーディガンズ)。この東京公演のレポートが公開。レポートは90年代当時、日本でバンドを大成功させた日本の初代A&RのJidoriさん。

また、東京公演のセットリストがプレイリストとして公開となっている。
プレイリスト

ライヴ・レポート

秋の気配が深まる10月13日、SWEDISH POP CARNIVAL初日が開催された。

メイヤ、クラウドベリー・ジャム、そして、我らがカーディガンズの3組が出演するイベント。いわゆるスウェディッシュ・ポップ最盛期から30年を経ての競演となった。

東京の会場は有明、東京ガーデンシアター、約8,000人のキャパを誇る。オレは初めての場所だったんだけど、入場してすぐにそこはロビーであるにも関わらず、その大きさに圧倒される。どこから、自分の座席に行けば良いのかも分からぬまま、係員さんに案内していただいたのだが、会場には多くのオーディエンスが…まずは一安心。

クラウドベリー・ジャムが演奏を終えた辺りで席に着き、カーディガンズ登場を待つ事約20分…客電が落ちると共に、会場には「Cuckoo, cuckoo」という鳴き声が。そしてドラマーのベングトくんが位置に付き、落ち着いたビートを刻み始め、続いて、ベースのマグナス、ギターのオスカー、キーボード/ギターのラッセがイントロに加わり、最後にグリーンのシックなスーツに身を包んだニーナが登場、オープニングの「Your New Cuckoo」がスタート。過去の武道館、サマーソニックを除けば、バンドにとって日本でこれだけ大きな会場での公演はないのだが、サウンドのバランス、ヴォリュームは申し分なし。そしてニーナの声も非常に良く出ている。

「今晩は。私たち、まだカーディガンズよ」というMCに続いて、「Hey! Get Out of My Way」へ。オスカーのギター・ソロが良い感じで演奏を締める。

ラッセがキーボードからギターに持ち替え、初期の名曲「Daddy’s Car」へ。オレはファースト・アルバム収録曲で、この曲は1、2を争うくらい好きなのだが、これを含め、今回のライヴでは20数年ぶりに演奏したものが多かったようだ。

続いて、ニーナが「この曲が、私たちの日本での成功のきっかけになったの」と話すと同時に、「Sick & Tired」炸裂。全員、演奏ウマくなったなぁと実感…

セカンド・アルバム『Life』収録の「Gordon’s Gardenparty」、アレンジが面白い「Travelling with Charley」、これぞスウェディッシュ・ポップな「And Then You Kissed Me」と進んで、オスカーはギターをチェンジ、ニーナはハープを携え「For What It’s Worth」へ。誰も気付いていないと思うけど、ニーナは曲のカウントを「イチニサンシ」と日本語で取っていた。マグナスのベース・ラインも美しく動いていて気持ちいい。

モダンなアレンジが面白い「Erase / Rewind」の後には「サイコー、ありがとうございます」というMC から「Happy Meal II」、そして、「この曲は…多分一度もライヴで演奏したことがないと思う」というニーナの言葉から「Beautiful One」。確かに聴いたことないな。山ほどの定番がある彼らだけど、こういった隠れた名曲あるんだよね。

落ち着いたピアノのイントロに続いては「Communication」。ミラーボールのようなライティングが美しい。そして、再びベングトの刻むビートから、曲は先日亡くなった帝王オジー・オズボーンが在籍していたブラック・サバスの代表曲「Iron Man」へと突入。ダブ処理されたヴォーカル・ラインが今聴くと逆に新鮮だね。ニーナのスキャットもカッコいい。

軽いジャムを頭に持ってきて、曲は「Lovefool」へ。おぉ、アダルトな雰囲気が素晴らしいと思いつつも、このまま進むと…と感じていたら、そこは期待を裏切らない、あのゴージャスな展開へと進む。オーディエンスもここに来て、携帯で動画を撮る。

メイヤ、クラウドベリー・ジャムへの謝意を述べた後、本編ラストの「Rise & Shine」へ。ちょっと距離があったので確認できなかったのだが、ニーナはピアニカのようなモノを吹いていたんじゃないかな。

あっという間にアンコール。オレの斜め前にいた外国人家族の娘さんが飛び跳ねて喜んだのが「I Need Some Fine Wine And You, You Need To Be Nicer」。日本でのマーケットはサードまでが彼らのピークという印象もあるんだけど、海外ではその後もずっとバンドの支持者はいたんだし、まして小学生みたいな女の子があんなに盛り上がるのを見て、結構感動しちゃったんだよね。

そして、オーディエンスからの「ニーナ‼︎」の掛け声を「ハイっ」とさらりと受け流し(オレは彼女のこういうところが大好きなの)、クライマックスの「Carnival」へ。オスカーくんのギターもあくまでもオリジナル・メンバーのピーターのフレーズは崩さずに、そこに自分のカラーを加えたことで、よりバンドの推進力が増していた。

ご機嫌なご様子のニーナの「サイコー」という掛け声からラスト・ナンバー「My Favourite Game」。バンドのグルーヴが過去に観たどの公演よりも強力だったのがうれしい。後半のギター2本の突っ込み方なんて、ポリス(The Police)みたいだったもの。そして、エンディングへ…で、突然アレンジは大爆音へ!まさかのブラック・サバス攻撃再び。しかもカーディガンズとして正式カバーは未発表の「Sweet Leaf」 …大反則でしょ、それ。オーディエンス唖然、若干の静寂の後に大歓声でライヴは無事終了。

その後、楽屋でメンバー、その家族、更にはおそらく25年は会っていなかったマネージャーにも再会。お互いの近況報告をしつつ、「いつの話だよ」とか、「もう、あんなにビール飲めない」とか、他愛のない会話を交わしていたんだけど、ベングトくんが「あぁ、そうそう。一昨日ね、皆で牛一頭くらいしゃぶしゃぶ食べたあの店に皆で行ったんだ。懐かしかったぁ」と言ってくれて、バンドはもちろん現在進行形なんだけど、当時の思い出がちゃんと全員の心に残っていたのを確認して、ほろっとしたよ。

バンドは来年、初の南米ツアーを実行する。まだまだ皆、全力で行こうぜ!
文:Jidori

■商品情報
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バンドから日本のファンへのメッセージ掲載、解説・歌詞・対訳付
編集:カーディガンズ / 全曲リマスター / 未発表ヴァ―ジョン2曲収録
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The Cardigans

WRITER

MeloFlux編集部

メインライターの酒井裕紀を中心に最新の洋楽、KPOPなど世界の音楽の情報を中心にお届け。主にレーベルやアーティストに関連したプレスリリースやランキング、ミュージック・ビデオ等の映像公開、来日公演情報などを発信しています。